全般の傾向
前期選抜が難化したことに比べて、例年並みの難易度でした。昨年から教科書が新しくなった事に伴い、新しく加わった内容が出題されています。例えば、数学では四分位数、理科では金属のイオン化傾向です。また、社会や理科では文章を読んで考えさせる問題が出題されています。大学入試共通テストの同様の傾向です。中期選抜の問題の難易度は例年並みですが、人気校への志望者の集中がここ数年特に顕著になってきていますので、人気校はより狭き門となりました。中期では当日点と内申点がほぼ1:1ですので、中期受験は1年生からの内申対策が重要です。特に実技4教科は内申を2倍にして加えますので、日頃からおろそかにしない事が大切です。
各教科の解説
国語
古文は「俊頼髄脳」からの出題で例年並みの読み易い文章です。古文は得点し易いので古文の読み方の基本をしっかり身につけて下さい。前期の抽象的内容を扱った現代文に比較して、中期の現代文は具体的な論説文で読み易い内容でした。身分社会から自由な社会へ変遷したことで、より自己について明らかにして自己を確立したいという意識が、日本近代文学で「私小説」が常道となったという内容です。漢字、文法など得点しやすい所は取りこぼさない事。抜き書き問題は文章をしっかり理解する必要があります。
社会
地理では地形図が出題されるので地形図の読み方に慣れる必要があります。歴史は各時代の出来事をしっかり抑えれば得点できます。特に江戸時代は長いので三つの改革の順番と行った人物をしっかり覚えて下さい。公民は円レート(円高や円安)、三権分立を抑えて下さい。全体として資料を読んで考えさせる問題が多いです。
数学
大問1で四分位数が出されていますが、四分位数を理解していれば容易に得点できます。図形に関する設問が少し難しかったかも知れません。大問2の空間図形の問題は体積と表面積を求める問題でこれも容易に得点できます。円柱と円錐の体積・表面積の求め方、特に円錐の側面積の求め方を理解して下さい。大問3の確率の問題は小問1は容易です。樹形図で簡単に求める事ができます。小問2の設問は、該当するものを全て選べなので少し難しいかも知れません。大問4は動点も問題ですが、動点の作る三角形の面積が動点の一に応じて二次関数から一次関数に変わるのが特徴です。小問2は非常に計算量が多い問題で時間が掛かります。大問5は小問1は30°-60°-90°の直角三角形の辺の比で簡単に解けますが、小問2が難問です。正答率は相当低い筈で捨てるが勝ちです。円内部にできる相似な三角形の相似比で解くかと思わせるのですが、そうではなく直角三角形の斜辺に垂線を引いて考える問題でした。小問3は2が解ければオマケで簡単に求まります。小問6の規則性の問題は前期と同様比較的容易にn番目についての一般式が求まる問題でした。昨年中期から規則性の問題は易化しています。
理科
社会と同様に文章を読んで考える問題が目立ちます。日頃から文章題に慣れる必要がありますが、難易度はそれほど高くありません。出題内容は、刺激と反応、気体の性質、地層と岩石、電力とオームの法則、細胞と観察、金属のイオン化傾向、水蒸気量と気象、力と運動です。昨年度の教科書改訂で新たに正な内容として加わった所からの出題があります。大問2の気体の性質、大問6の金属のイオン化傾向です。気体の性質では、従来の水素、酸素、窒素、二酸化炭素、アンモニアに加えて、塩化水素と二酸化窒素が加わりました。イオン化傾向の問題は教科書には実験として記載されていますが、イオン化傾向の違いでどのような現象が起こるかを理解して下さい。大問4の小問3でオームの法則の問題が出題されていますが、数値を求める問題ではなく、オームの法則の本質を理解しているが問われる問題です。また、該当するものを全て選ぶ問題なので難しいかも知れません。大問8は力学の問題ですが、計算問題はありませんでした。
英語
例年通りの難易度でした。大問1の長文は関係代名詞を使った難しい構文もなく比較的読みやすい文章です。内容一致問題は本文の内容だけでなく、選択肢の英文の意味をしっかり理解して下さい。抜き書き問題は最近は、本文から2から3語を抜き出す問題で本文を素早く読める力が試されます。大問2の対話文は文章自体は難しくありませんが、本文と表を比較して正確に内容を把握する必要があります。全体的に難しい構文はありませんが、語彙力が不足していると内容を把握出来ません。基本的な名詞や動詞に加えて、基本的な接続詞、前置詞、副詞をしっかり覚えて下さい。
なお、リスニングに関しては音声データが公開されてから難易度を見たいと思います。